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by harimaai
| 2021-10-18 14:00
| つながり
追記
今年の藍便りを書き上げお客様に送付してから、こんな事を書いて良かったのかと思いました。生産者の側がまるであおるような切り口になっていないだろうか? しかし全ての発送が終わってからも、多くの方から購入のお電話をいただいています。その中に徳島で勤めていた頃の先輩からの注文がありましたが、断らざるをえませんでした。阿波藍の事情に詳しい方でもあり、その状況を聞いてみると『もう徳島の藍屋には1俵の在庫も無い!』とういう事でした。 いつかはそうなるのだろうと思っていましたが、こんなに早くくるとは驚きでした。 しかしながら、私がこの藍づくりをを始めたきっかけの一つが、染料の入手経路の確保でした。15年ほど前に徳島にいた頃、もうすでにこの高齢化や農家の減少は現実的な問題でした。染織家の数や使用量が減る一方でしたので、このバランスが危ういながら持ちこたえていたのでしょう。老婆心からか特に若い方々にはいろんな所から買えるように、またストックを持っておいてほしいと進言しきました。自然相手、体が資本ですから私達家族もいつ生産を減らしてしまうか分からない。 以前より自家製藍を作る動きが見受けられます。それは5kg程度(醗酵期間2週間)の簡易なものから200kg(100日以上)を超える、たいへん良質なすくもづくりをされている方もいらっしゃいます。中には完全無農薬有機栽培天日干しを実践する方もあり、ここまでくるともはや執念ともいえます。 きっとこういう時代や流れの中から、次世代の藍づくりの原型が形成されるのではないでしょうか。 今年播いた種がようやく発芽してくれました。何年やっても芽が出るまで心配します。 #
by harimaai
| 2014-03-11 16:05
| 播磨藍便り
【藍作の行方2】 そんな事を調べているうちにあるブログに目がとまりました。最近まで契約農家だったお家の方が書かれているもので、契約金について1反(約300坪、約31m四方)あたり一番葉が10万円、二番葉7万円、三番葉6万円、ここに肥料代が7万円かかるそうです。この数字がどこまで信憑性があるのかはわかりませんが、ここに燃料代や機械代などがかかってきますし、三番刈りとなると穫(と)るのが難しく、上手く行けばという程度です。梅雨の最中(さなか)の一番刈り、酷暑の中の二番刈り、草と戦い三番刈り、下請けだけの若い農家がやってみようと思うでしょうか?藍が好きでやっている私とはちがいます。 この数字だけを見て単純に高い安いを言う事は出来ません。ただこの仕事をできるのはある程度時間に融通がきく人だけでしょうから、自然と高齢者が関わる事となります。しかしこの辺りでもそうですが、若い年齢の就農者はほとんどいませんし、多くの農家が他人に田畑を預けて関わらなくなってきました。生産者価格を上げなければ、ますます規模は減少してくる事は間違いないと思います。しかし現実的に今でも すくもは高いものになっていますし、染織製品の販売価格も普段使いできないくらいでもあります。 例えば筵(むしろ)にしても、藁(わら)の確保が難しくまた価格転嫁(てんか)出来ず、多くの藁工品(わらこうひん)店が廃業しています。既に4〜5軒の店を変えながらやっていますが、価格は2倍近くになり品質は下がる一方です。このような事が製藍においても出てくるのではないかと心配しています。このようにものづくりの底辺が立ち行かなくなる現実が、あちらこちらで起きている事がわかります。もし質の低下を招くようなものづくりが為されれば、藍の魅力は到底消費者には届かないでしょう。ただひたむきに藍と向き合う人たちを見ていると、何とか良い藍を届けたいと思います。 #
by harimaai
| 2014-03-10 16:04
| 播磨藍便り
【藍作の行方1】 阿波(あわ)の人は本当に働き者で、日が昇る前から畑へ出て、暗くになってもライトをつけながら畑を耕したりする姿をよく目にしたものです。 徳島新聞(2012/6/2)の記事によれば、『阿波藍(あわあい)ピンチ、栽培農家も激減 染料すくもの生産量が半減』と題して、2000年に92軒25・4ヘクタールあった藍農家が2011年には33軒15・3ヘクタールにまで減少していると書かれてあります。 ここでいう藍農家とは、徳島で5軒ある藍屋とそれぞれ契約し、葉藍をおさめている農家の方々です。私が徳島で勤めていたところも契約農家さんにお願いして作ってもらっていました。阿波藍として千俵近く生産できるのもこういった農家さんの存在なしには成り立たないと思います。この減少の理由として新聞には高齢化と着物販売の不振と書かれてあります。しかし本当にそうなのでしょうか? すくもの需要が減ったのに対して生産力が低下したのであれば、需給のバランスはとれているはずです。しかしこの均衡が崩れて、 すくもが不足しているのではないかと思うふしがあります。 有難い事にここ数年ほど前から少しづつ播磨藍の注文が増えています。今春の は収量が多かったのにもかかわらず、早々に完売しました。しかしその問い合わせの数が半端ではなく、とても播磨藍だけでは賄(まかな)える量ではありませんでした。直感として が足りなくなってきているのではと感じています。 #
by harimaai
| 2014-03-09 16:02
| 播磨藍便り
【寝床(ねどこ)】 すくもを作る部屋のことを寝床といいます。九月の下旬に葉藍をこの部屋へ運び入れ、水を打って醗酵を促(うなが)します。これを『寝せ込み(ねせこみ)』と言い、まるで人を扱うような表現をします。寒くなってくるとかける筵(むしろ)を蒲団(ふとん)と呼び、その他にも熟成していることを『よく寝ている』 温度が下がることを『風邪をひく』などと言います。 寝床というくらいですからよく見る土間(どま)とは全く違っていて、まさにベッドのような構造になっています。表面には粘土(ねんど)を打ってあるのですが、その下には筵(むしろ)やもみ殻(がら)の層があり、砂、小石、バラス、ぐり石などの多層構造となっています。これはたくさんの水を打ちますので、その水が素早くはけるようにすることと、藍が風邪をひかないよう保温するためです。すくもはとても腐りやすく、接する部分にも通気性がないといけません。使えるものは筵か土かくらいでしょうか、木材でも半日も接しているとトロンと腐敗してきます。面白いことに梅雨時期でも、この土間に直接物を置いても全くカビません。それは結露(けつろ)がつかない、つまりは温度差ができにくく通気性が良いということをさしています。 しかしよく考えると粘土で通気性や排水性があるというのは本来ではありません。池の堤防や湖底、田んぼの敷き(しき)にも粘土が入れてあって水漏れを防いでいます。こう言うものを鋼土(はがねつち)といい粘度(粘り)の強いものなのですが、ここで使ってあるものは特殊で、粒子の極細かい淡路島(燻し瓦(いぶしかわら)用)のものなので、抜群の透水性を持っています。 今年はこの床を全面張り替える予定で、淡路へ足を運びました。部分的な補修をしながら使ってきましたが、いよいよ粘土に多くのアクが回りだして、うまく水を排水できなくなってきました。藍建てにもアクがあるようにすくもからはたくさんの茶色いアルカリのアクが粘土に染み込み、カチンカチンの石のようになり、腐敗の原因ともなります。 そういう理由で今年は在庫をたくさん抱えることができませんので、皆様にはご迷惑をおかけしますが早めのお引取りをお願いしました。 #
by harimaai
| 2014-03-08 16:00
| 播磨藍便り
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